歯はどうやって動く?矯正で歯が動く仕組みをやさしく解説
矯正で歯が動くのは、歯の周りで骨が溶けたり作られたりを繰り返しているからです。
このページでは、矯正で歯が動く仕組みを、できるだけやさしく解説します。
仕組みを知ると、「なぜ弱い力がよいのか」「なぜ保定が必要なのか」が見えてきます。
歯はどうやって動くの?(骨が溶けて、また作られる)
歯は、あごの骨に直接くっついているわけではなく、歯根膜(しこんまく)という薄いクッションを介して骨に支えられています。
矯正で歯に力を加えると、歯が動く側では古い骨が少しずつ溶け(吸収)、反対側では新しい骨が作られます(形成)。
「骨が溶けて歯が動き、動いた跡を新しい骨が埋める」——これを少しずつ繰り返して、歯は移動していきます。
「血のめぐり」がカギ
歯に力が加わると、押される側では血流が減り、引っぱられる側では血流が増えます。
この血流の変化が、骨を溶かす細胞・骨を作る細胞のはたらきのスイッチになります。
だからこそ、血流を止めてしまわない弱い力が大切なのです。
強い力は逆効果になることも
「強い力をかけたほうが速く動く」と思われがちですが、実際は逆のことが起こります。
強すぎる力は歯の周りの血管を圧迫し、血流を遮断してしまいます。すると組織の反応がうまく起きず、かえって歯の動きが止まったり遅れたりします。
弱く持続的な力のほうが、結果的にスムーズに歯を動かせます(詳しくは矯正の治療期間・早く終わる理由)。
最適な力の目安(歯によって違う)
最適な矯正力は、歯の大きさ(歯根の表面積)によって異なります。以下は理論上の目安です。
歯の種類 | 力の目安 |
|---|---|
前歯(切歯) | 約50〜80g |
犬歯 | 約150g |
小臼歯 | 約110g |
大臼歯 | 約240g |
※あくまで目安で、実際には装置の摩擦なども考慮して調整します。大切なのは「強ければよい」ではなく「適切な力」であることです。
矯正中の痛みはなぜ起きる?
力を加えた直後、歯の周りで一時的に血流が滞り、軽い炎症が起こります。これが矯正中の痛み・違和感の正体です。
多くは2〜4日ほどで少しずつ和らいでいきます。食事でやさしく噛むことは、血流の回復を助けます。痛みの感じ方には個人差があります。
矯正のあとは「保定」で安定する
装置を外した直後、歯はまだ不安定な状態です。歯根膜や骨、歯ぐきの組織が新しい歯並びになじむには、数ヶ月〜1年以上かかります。
この間に後戻りを防ぐのが保定(リテーナー)です。仕組みのうえでも、保定はとても重要な工程です。
よくある質問
大人でも歯は動きますか?
動きます。骨が溶けて作られる反応は年齢に依存しません。お子さんより時間がかかることはありますが、大人でも矯正は可能です(個人差があります)。
痛いほどよく動いているということですか?
いいえ。痛み=よく動いている、ではありません。強すぎる力はむしろ歯の動きを妨げます。当院は無理のない適切な力で進めます。
矯正後はすぐに安定しますか?
装置を外した直後は不安定です。保定期間を経て、少しずつ安定していきます。
相談予約
※当院ではインビザラインによるマウスピース矯正を行っています。軽度〜中等度の歯並びに適し、抜歯が必要なケースや口元を大きく下げたい場合はハーフリンガル・表側ワイヤー矯正もご提案します(適応による)。
仕組みを知ると、ご自身の治療への納得感も深まります。
気になる点は、検査・診断のうえで一つずつご説明します。
注意事項
本ページは一般的な情報提供を目的としています。記載の数値は理論上の目安であり、実際の治療は診断により異なります。効果・期間には個人差があります。
リスク・副作用
矯正治療には以下のようなリスク・副作用が生じることがあります(個人差があります)。
- 痛み・違和感が出ることがある
- 虫歯・歯周病リスク(清掃不良時)
- 歯根吸収・歯肉退縮の可能性
- 後戻り(保定が不十分な場合)
- 治療期間が延びる場合がある
- 装置による口内炎など