叢生(ガタガタの歯並び)の原因と治療法【叢生について詳しく解説】

八重歯(叢生)って治した方が良い?

八重歯など、ガタガタの歯並びに悩んでいませんか?

  • 「笑うと前歯がガチャガチャで、気になってしまう」
  • 「人前で笑うときは、口を手で隠して笑ってしまう」
  • 「歯並びも悪く、人前で話すのが億劫なこともある」
  • 「歯磨きしても磨ききれなくて、虫歯になりやすい」

こういったお悩みを抱えている方は、決して少なくありません。

八重歯など、叢生は顎と歯のバランスが悪いことによって起こり、適切な治療によってきれいな歯並びに改善できます。

一つの治療例をお見せしましょう。

叢生の歯並びの、矯正治療前後の比較写真です。上下左右の奥歯を一本ずつ(計4本)抜歯して顎と歯のバランスを整えて、きれいな歯並びに治しました。
🔼左側が矯正治療前、右側が矯正治療後の歯並びです。
(なお、この方の治療の詳細は、下記の矯正治療例を参照してください。)

矯正治療により、前歯の見た目の清潔感がより強調され、より自然な笑顔にもなります。 また、歯並びがキレイになることで、口腔衛生が大きく改善されることが期待できます。

この記事で分かること

「八重歯(叢生)を治したい」と悩んでいる方のために、実際の矯正治療によるビフォーアフターの症例を紹介しながら、以下の内容を詳しく解説しています。

      【目次】
1.叢生(ガタガタの歯並び)とは?
    叢生の概要
    叢生の原因

2.叢生(ガタガタの歯並び)の矯正治療法
    子供の叢生の矯正治療
    大人の叢生の歯列矯正
       ワイヤー矯正 / マウスピース矯正 / 歯列拡大 / ストリッピング

3.叢生の歯列矯正(大人の場合)の治療例
    Case1. 叢生(八重歯)の歯列矯正の症例
    Case2. 叢生(前歯が出てる)の歯列矯正の症例
    Case3. 叢生(八重歯)の歯列矯正の症例  (製作中)
    Case4. 八重歯を治して口元も引っ込めたい歯列矯正の症例
    Case5. 叢生を治して口元も引っ込めたい歯列矯正の症例
    Case6. 叢生の歯列矯正(非抜歯)の症例

4.叢生のQ&A
    Q1. 歯列を側方へ拡大する治療のデメリット
    Q2. ストリッピングの限界
    Q3. (製作中)

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叢生(ガタガタの歯並び)とは?

叢生の概要

八重歯をはじめとする叢生の歯並びとは、顎の大きさと歯の数・大きさのバランスが調和せず歯が正しく並ぶスペースが不足していることにより、歯が不規則に並び、重なり合った状態を指します。

八重歯の目立つ叢生
叢生の歯並び

叢生は見た目に影響するだけでなく、以下のような問題を引き起こすことがあります。

  • 噛み合わせの不調 : 正しい噛み合わせができず、顎関節に負担がかかる
  • 虫歯や歯周病のリスク : 歯が重なり合っているため歯磨きをしづらく、口腔衛生が悪化する
  • 発音の問題 : 歯並びの乱れにより発音に影響が出ることがある

叢生の原因

叢生とは、歯が重なり合って不揃いに生えている状態です。 原因には以下が考えられます

  • 顎の大きさが小さい
  • 歯の大きさが大きい
  • 乳歯の早期喪失・虫歯
  • 遺伝

叢生(ガタガタの歯並び)の治療法

子供の叢生の矯正治療

成長期を利用して、顎の発育を助ける治療が可能です。

  • よく噛んで食べること
  • 乳歯の時にしっかり虫歯予防すること
  • 必要なら小児歯科において咬合育成の治療を受けること

ただし、この場合の顎というのは、歯が生えるべき歯槽骨と言われる部分になります。
出っ歯や受け口の矯正治療の場合と異なり、骨格自体の前後的な顎の成長を促すこととは違います。

また、口呼吸などにより、歯列の狭窄などが見られる場合には、歯列の急速拡大が選ばれることもあります。
そのほか、リップバンパーという器具の装着により、下顎の奥歯を奥へずらして、スペースを得ることもあります。

大人の叢生の歯列矯正

大人は顎の成長が完了しているため、主に「歯を動かす」方法で治療を行います。
抜歯を伴うことが多く、どの程度の叢生にも対応できます。

ワイヤー矯正

叢生(ガタガタの歯並び)を矯正で治す場合、歯をきれいに並べるためのスペースを確保する必要があります。 多くのケースでは、抜歯によってスペースを作り、ワイヤー矯正(歯列矯正)で歯を整えるのが基本的な治療方針です。

ただし、叢生の程度が軽度であれば、非抜歯(抜歯をしない矯正治療)で対応できることもあります。 適切な診断のもと、抜歯の有無を判断します。

抜歯をしてスペースを作り、ワイヤー矯正で叢生を治療する症例写真
▲抜歯によってスペースを確保し、ワイヤー矯正で歯並びを整えた叢生の治療例

抜歯する歯は、前から4番目の歯(第一小臼歯)が選ばれることが一般的です。
もちろん、症例によっては他の歯を抜歯するケースもあります。 ただし、通常とは異なる抜歯方法を選ぶ場合、歯の動きや噛み合わせに影響が出る可能性があり、治療期間が延びることもあります。 このような場合は、矯正医と十分に相談し、リスクや治療計画を理解したうえで進めていくことが大切です。

マウスピース矯正

マウスピース矯正という選択肢も有力な治療法の一つでしょう。
透明なプラスティックで作られたマウスピースを使用しますので、治療中であっても見た目が気になりにくく、取り外しもできるため、食事や歯磨きも楽に行えます。
マウスピース矯正では、非抜歯で治療に入ることが多いと思います。

ただし、注意が二点あります。

  • 適応できる症例に限りがある
    重度の叢生(ガタガタ)や骨格的な問題がある場合は、ワイヤー矯正が適していることもあります。。
    事前に歯科医師の先生とよく相談してください。
  • 自己管理が重要
    患者自身がマウスピースを毎日20~22時間装着することが求められます。
    適切な使用がされないと、治療期間が延びたり、十分に治らないこともあります。

詳しくは、「目立たない矯正 マウスピース矯正」のページを参照してください。

歯列拡大とは?抜歯せずに歯並びを整える矯正方法

歯列拡大(しれつかくだい)とは、歯を抜かずにスペースを作り、歯をきれいに並べる矯正方法の一つです。 叢生(ガタガタの歯並び)や軽度の出っ歯の人で、抜歯を避けたい方に選ばれる治療法です。

歯列拡大には主に以下の2つの方法があります。

🔳 前方(前歯方向)への拡大
歯列を前に広げる方法です。
軽度の叢生や口元に大きな突出感がない方に適しています。
ただし、前歯が今よりも前方に出る可能性があるため、口元のバランスや噛み合わせを総合的に判断して適応を決めます。

🔳 側方(横方向)への拡大
歯列がV字型で狭い場合などに、クワドヘリックスなどの装置を使って横方向に広げる方法です。
明らかな歯列の狭窄があるケースに有効で、それ以外では行わないことが一般的です。

歯列拡大が向いている方の特徴
  • 叢生(ガタガタ)の程度が軽度である
  • 上下の噛み合わせに大きなズレがない
  • 口元(特に横顔)のバランスが整っている
  • 抜歯による口元の引っ込みを避けたい
歯列拡大の注意点と限界

前方拡大の場合、口元がやや前に出るため、見た目に影響が出ることがあります。
そうしたケースでは、歯を少し削ってスペースを作る「ストリッピング」(後述)や、アンカースクリューを用いて奥歯を後ろに移動させる処置を併用する場合もあります。

また、骨格に特徴のある方では、抜歯矯正により「しゃくれた」印象になることを避けるため、歯列拡大を優先することがあります。
一方で、拡大しすぎると噛み合わせに悪影響を及ぼす可能性もあるため、歯列の形や顎の大きさに応じた適切な診断が不可欠です。

ストリッピングとは?歯を削ってスペースを作る矯正方法

ストリッピングとは、歯を抜かずに歯並びを整える方法の一つで、歯と歯の間(隣接面)をわずかに削って、歯を並べるためのスペースを確保する治療法です。
「歯を抜きたくないけどスペースが足りない」という方にとって、有効な選択肢となります。

ストリッピングで使うやすりのような器具
ストリッピングで使うやすりのような器具
どれくらい削るの?痛みはある?

「歯を削る」と聞くと不安に感じる方も多いですが、ストリッピングではエナメル質のごく表面を0.25〜0.3mm程度削るだけです。
両隣を削っても1本あたり約0.5mm程度と非常にわずかな量で、神経には影響しないため、痛みはまずありません。

ストリッピングが効果的なケース
  • 叢生(ガタガタ)の程度が軽度〜中等度
  • 非抜歯矯正を希望しているが、あと少しスペースが足りない
  • 前歯の微調整や仕上げ段階で歯の位置を整えたいとき

特に、歯列拡大やマウスピース矯正と組み合わせたり、仕上げの微調整のために行ったりして、より自然でバランスの良い仕上がりが期待できます。

叢生の歯列矯正の治療例

当院では大人の矯正治療がメインなので、大人における叢生の歯列矯正の症例を示します。

叢生(八重歯)の歯列矯正の症例

八重歯(叢生)の歯並び
八重歯(叢生)の歯並び
八重歯(叢生)の歯並びの人の口元

上の八重歯が目立ちますが、下は前歯と奥歯がそれぞれ乱れている歯並びでした。 奥歯の噛み合わせは出っ歯気味という状況です。
歯並びがキレイになった後は、アンカースクリューを使わずとも行ける範囲で口元を引っ込めて行く方針で、治療に臨みました。 抜歯は通法通りに計4本の抜歯です。(智歯を除く)

→ 叢生(八重歯)の歯列矯正の治療の詳細は、コチラを参照してください。

叢生(前歯が出てる)の歯列矯正の症例

叢生の矯正前の歯並び
叢生の矯正前の歯並び
叢生の歯並びの人の矯正前の口元

前歯の乱れにより、正面の歯が飛び出たように見えてしまっています。 奥歯の噛み合わせは正常なので、通常通りに上下左右の奥歯を一本づつ(計4本)抜歯して、スペースを作ることで、キレイな歯並びを目指します。

→ 叢生(前歯が出ている)の歯列矯正の治療の詳細は、コチラを参照してください。

叢生(八重歯)の歯列矯正の症例

 (ただいま製作中)

八重歯を治して口元も引っ込めたい歯列矯正の症例

重度の八重歯を伴う乱ぐいの歯並び(矯正前)
重度の八重歯を伴う乱ぐいの歯並び(矯正前)
重度の八重歯を伴う乱ぐいの歯並びの人の口元と横顔(矯正前)

上の左右の八重歯が上の歯列から完全にはみ出しています。 下の前歯にもガタつきがあり、奥歯の噛み合わせは完全に出っ歯の噛み合わせです。(歯一本分ズレています)
先ずは八重歯の解消を目指し、上の歯だけ2本抜歯して、下は歯を抜かずに治療を進めました。
その後、口元を引っ込めるためにあらためて上2本&下2本の計4本の抜歯を追加して、口ゴボを治すべく治療を進めました。(最終的には計6本の抜歯をしています)

→ 八重歯を治して口元も引っ込めたい歯列矯正の治療の詳細は、コチラを参照してください。 

叢生を治して口元も引っ込めたい歯列矯正の症例

口ごぼを矯正する前の歯並び
口ごぼを矯正する前の歯並び
口ごぼを矯正する前の横顔と口元

上下とも前歯の歯並びにガタつきが目立ち、口元も出ている状態でした。
先ずはキレイな歯並びを目指し、上下左右の奥歯を一本づつ計4本抜歯して、矯正治療を進めました。
歯並びがキレイになった時点で自身の口元を再評価してもらいましたが、「もっと口元を引っ込めたい」という希望でした。 でも、これ以上の抜歯も避けたい!
それならということで、上顎(口蓋の真ん中)と下顎の智歯抜歯後にアンカースクリューを植立して、上顎・下顎ともに歯列ごと後方へ移動させて前歯を引っ込めることで、口元も引っ込めて行こうという計画で治療を進めました。

→ 叢生を治して口元も引っ込めたい歯列矯正の治療の詳細は、コチラを参照してください。

叢生の歯列矯正(非抜歯)の症例

叢生の歯並び(矯正治療前)
叢生の歯並びの人の横顔(矯正治療前)

叢生の程度が軽度であること、噛み合わせにも大きなズレなどの問題が無いこと、口元(横顔を含む)のバランスに問題が無いこと、歯を抜かずに非抜歯で対応する条件にピッタリでした。

→ 叢生の歯列矯正(非抜歯)の治療の詳細は、コチラを参照してください。

叢生のQ&A

歯列を側方へ拡大する治療のデメリット

歯列を拡大すると、歯列弓長が長くなるため、ある程度の歯並びの凸凹(ガタつき)を並べるだけのスペースを確保することが出来ます。 そのことを利用して、非抜歯で歯並びを整える治療計画で進めることはあります。
ただ、基本は前方への拡大になります。

側方へ拡大すると、一時的には良いのですが、長い目で見て以下のデメリットがあります。
1.長期的に安定しないので、後戻りしやすい。
基本的に、歯列は「内側」からの圧力と「外側」からの圧力のバランスの上に成り立っています。
「内側」というのは、「舌」です。 「外側」というのは、「口唇や頬粘膜」です。
ですから、それを無視して、歯列の幅を勝手に変えても口腔内で安定できないのです。

2.噛み合わせが不安定になりやすい。
コレには二つの理由があります。
一つは、奥歯を側方へ拡大するときに、奥歯は外へ倒れて傾くように動くのです。(傾斜移動と言います) そうすると、上下の奥歯の接触面積が減ることで、噛み合わせがしっくりと収まりにくくなります。
もう一つは、上顎と下顎とで骨質が異なるため、上下が一致して上手いこと拡がらないことがあるためです。 一般に、上顎の方が骨が柔らかいため、より動きやすくなります。 また、拡大する装置にしても、上の方がよりシンプルに効果が出やすい形が多いのです。
上下で拡大幅が異なると、当然奥歯の噛み合わせも合わなくなってしまいます。

ストリッピングの限界

どうしてもその削除量、すなわち得られる有効なスペースが、とても少ないことです。
前述したように、1本の歯の片側にストリッピング処置をして、得られるスペースは「0.25㎜~0.3㎜」
ぐらいです。 叢生の程度にもよりますが、多くの症例において、この処置だけで歯並びをきれいにすることは難しく、どうしても歯列の拡大を併用する必要があります。

また、ストリッピングの際に人の手を介して行います。 処置部位が前歯などになった場合、左右において厳密に同じだけ削除して、かつ、歯の形がおかしくないように、出来るのか!? という話です。
もちろん、する場合には注意して行うわけですが、「あれ・・・?」ということが絶対に起きないとは言えない、と考えているのです。
ですから、特に上の前歯で止むを得ず行う際には、左右の歯の形などが異なっても構わないよね?という確認と同意をもって、するようにしています。

Q3.