セラミックの差し歯(クラウン)を用いた歯並び矯正治療の解説
セラミックの差し歯(クラウン)を使用して、歯並びを整える矯正治療について詳しく解説します。
この方法は、以下のような理由で矯正に踏み出せない方に特におすすめです。
「歯並びを治したいが、矯正装置を付けたくない」
「矯正に時間がかかるのは面倒」
と感じている方には最適です。
また、見た目や形を改善したい方にも適しています。
美しい笑顔は自信と口元の清潔感を高め、第一印象を良くします。
古い差し歯や気になる歯並びを早く改善したいと願っている方は、ぜひ最後までお読みください。
【目次】
1.セラミック差し歯を用いた矯正の概要
特徴とメリット
デメリット
2.治療の流れ
一般的なケース
抜歯を伴うケース
3.注意点
適応症例
費用
口腔衛生の維持
4.まとめ
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セラミック差し歯を用いた矯正の概要
セラミックの差し歯は、審美的に優れた素材で、自然な歯の色に近い仕上がりが可能です。
このことを利用して、歯並びや歯の形状を改善する治療方法です。 特に、軽度からやや中度の叢生や歯の形の不正を修正する際に効果的です。
その優れた特性から、セラミックは審美歯科においてとてもよく利用されている素材です。
特徴とメリット
美しい仕上がり
セラミックは光の透過性が高く、自然の歯に近い色合いを実現します。 周囲の人に気づかれにくく、自然な歯に近い見た目を実現します。
強度と耐久性
セラミックは硬くて、摩耗に強く、色合いが変化しにくく、長期間使用することができます。
金属アレルギーの心配がない
セラミックは生体適合性が高く、金属を使用しないため、金属アレルギーのリスクもありません。
短期間での改善
歯並びの改善効果が早く、比較的短期間で結果を得ることができます。
メンテナンスが簡単
セラミックは表面が非常に滑沢でバイ菌が付きにくく、金属やプラスティックの歯に比べて、日常の歯磨きで清潔を保ちやすいです。
デメリット
自分の歯を削る必要がある
治療のためには、やむを得ず自分の歯を削る必要があります。
その際に、歯の中の神経を取らなければいけないこともあります。
そのうえで長持ちさせるためには、日常の歯磨きや定期健診など、口腔衛生管理がとても大切になります。
将来的に破損や作り直しのリスクがある
残念ながら一生長持ちする、というわけにはいきません。
セラミックは硬いですが、強い衝撃で割れることもあります。 特に食事の際に注意が必要です。
また、加齢に伴う歯肉の変化なども将来的なリスクになるでしょう。
治療のゴール(仕上がり)には限界があることも
削って被せるだけでは、目指す「きれい」に限界が生じることもあります。 その場合は矯正治療の併用が必要なこともあります。
治療の流れ
実際の治療例と合わせて、その流れを解説しましょう。
一般的なケースの場合
1.診察と診断
歯科医師が口腔内を診査し、セラミック差し歯を用いた治療の適応を判断します。
case study(術前)
例えば、「前歯が捻じれて飛び出てる!」という訴えのあった男性(20代)です。
2.型取りとデザイン(シミュレーション)
歯の型を取り模型を作ります。 そのうえで必要なセラミック差し歯のデザインを行います。
この段階で、歯並びの改善も考慮されます。 患者さんともよく話し合い、その希望をくみ取ります。
ゴールのイメージを共有する段階です。
case study
正面の前歯2本だけをセラミックにすれば、きれいになるのでは!?と推察しました。
理由としては、
・乱れが前歯2本に限定されていること
・前歯2本を変えた際に歯の形として不自然にならないであろう、と予想されること
3.シミュレーションの確認
歯並びの改善を考慮した模型上でのシミュレーションを確認します。
シミュレーションに「OK!」をいただいて、初めて次のステップに進みます。
必ず模型でのシミュレーションを行い、見た目がどのように変化するのか!?を確認します。
case study
模型上でのシミュレーションをして、その見た目について患者さんからも納得を得られました。
4.仮歯の装着
セラミック差し歯が製作されるまでの間、シミュレーションに基づいた仮歯を装着し、必要な修正を行います。
模型では良いと思っても、やはり実際にお口の中に入ってみないと分からないこともあります。 そのあたり、例えば歯の長さであったり、出具合であったり、などなどを修正します。
これらは、とても大事な情報になり、最終的にセラミックの歯を作る際に活かされます。
5.セラミック差し歯の装着
製作したセラミック差し歯を装着します。
case study(術後)
セラミックの装着に際しては、まず一度は仮付けを行い、見た目や噛み合わせに問題が無いか?日常過ごすうえで問題が無いか?を1~2週間ほどかけて様子を見ます。
もしも、何らかの問題(例えば、色合いとか形とかなどなど)があれば、一度セラミックの差し歯をお預かりして修正したうえで、再度の仮付けで様子を見直します。
(仮付けで様子を見て)問題が無ければ、本付けをします。
抜歯を伴うケースの場合
1.診察と診断
歯科医師が口腔内を診査し、セラミック差し歯を用いた治療の適応を判断します。
case study
例えば、「前歯がガタガタしている!」という訴えのあった女性(20代)です。
2.型取りとデザイン(シミュレーション)
歯の型を取り模型を作ります。 そのうえで必要なセラミック差し歯のデザインを行います。
この段階で、歯並びの改善も考慮されます。 患者さんともよく話し合い、その希望をくみ取ります。
ゴールのイメージを共有する段階です。
case study
右上正面の前歯は、他の歯よりも上に位置して外へ出ています。 さらに、隣在歯との間に残された隙間も狭い状況です。
この状況で無理やり削ってセラミックにしても、変な形の歯になることは容易に想像できます。
そこで、位置異常のこの前歯を抜歯して、他の前歯を削って笑って見える範囲の前歯がきれいに収まるようにする治療計画を提案しました。
左下の前歯については、この歯だけをセラミックにすれば問題ないであろうと予想されます。
また歯の色合いも、患者さんの歯がいわゆる変色歯であることから、入念なホワイトニングが必要になります。
3.シミュレーションの確認
歯並びの改善を考慮した模型上でのシミュレーションを確認します。
シミュレーションに「OK!」をいただいて、初めて次のステップに進みます。
必ず模型でのシミュレーションを行い、見た目がどのように変化するのか!?を確認します。
case study
模型上でのシミュレーションをして、その見た目について患者さんからも納得を得られました。
右上正面を抜歯して、右上の犬歯から左上の横の前歯まで、計5本分のセラミッククラウンで治療します。 左下の前歯は、この歯のみを削ってセラミッククラウンにする治療で十分かと。
4.抜歯
治療計画で抜歯予定になった歯を抜きます。
5.仮歯の装着
セラミック差し歯が製作されるまでの間、シミュレーションに基づいた仮歯を装着し、必要な修正を行います。
模型では良いと思っても、やはり実際にお口の中に入ってみないと分からないこともあります。 そのあたり、例えば歯の長さであったり、出具合であったり、などなどを修正します。
これらは、とても大事な情報になり、最終的にセラミックの歯を作る際に活かされます。
case study
シミュレーションで「OK!」をいただいたものと同じ形の仮歯を準備しました。 あらためて必要な歯を削って、仮歯をセットします。
6.ホワイトニング
仮歯をセットした後、必要なホワイトニングを行います。
case study
変色歯の場合、普通よりもちょっと長めにホームホワイトニングをすると良い結果が得られやすい、という報告があります。
セラミック差し歯の装着
製作したセラミック差し歯を装着します。
case study
色合わせがちょっと大変でした。 出来るだけ自然な白さ! 自分の他の歯とも違和感なく調和する色合い! そして、患者さんの思いに出来るだけ近いイメージを目指して頑張ります。
まず一度は仮付けを行い、見た目や噛み合わせに問題が無いか?日常過ごすうえで問題が無いか?を1~2週間ほど様子を見ます。
もしも、何らかの問題(例えば、色合いとか形とかなどなど)があれば、一度セラミックの差し歯をお預かりして修正したうえで、再度の仮付けで様子を見直します。
(仮付けで様子を見て)問題が無ければ、本付けをします。
注意点
適応症例
セラミック差し歯を用いた矯正は、主に軽度の歯並びの問題に適しています。
重度の叢生や咬合不良の場合は、抜歯や矯正とのコラボレーション、または普通に歯列矯正を検討する必要があります。
費用
セラミック差し歯は、一般的な治療に比べて高額になります。
事前に費用について確認しておくことは大事です。
口腔衛生の維持
治療後も定期的な健診(専門的な口腔衛生管理)が長持ちさせるためにはとても大切です。
もちろん、日々のブラッシングもとても大事です。
特に、虫歯や歯周病の予防のため、定期的な歯科健診(専門的な口腔衛生管理)が欠かせません。
まとめ
セラミックの差し歯を用いた矯正治療は、美しさと機能性を両立させる方法として、多くの患者さんに選ばれています。
ただし、適応症例や費用についてしっかりと理解し、歯科医師と相談しながら進めることが重要です。具体的な質問や不安があれば、歯科医師に相談してみてください。