よくある治療期間が長引くパターン

矯正の治療に時間がかかるという話を、耳にすることがよくあると思います。

ナゼこの歯が上手く動いてくれないのだろう・・・
歯が想定外の動きをしてしまい、その補正に時間がかかった・・・
などなど、人の体を相手にする処置ですから、いろいろなことが起こります。

そんななか、矯正をしていて治療に時間がかかってしまう一番のパターンは何でしょう?

それは、
「抜歯したのに上の前歯が十分に引っ込んでくれなくて、そこから前歯を更に引っこめる補正をするために時間を要してしまう・・・」
というケースなんです。

先日にお見せした治療例に代表されるような感じですね。
『口元をスッキリさせたい(令和2年1月25日 投稿)』

そのため、最近は矯正インプラント(アンカースクリュー)を上顎に対して積極的に併用するようにしています。
下の方はしなくても良いのか?
という疑問を持たれる方も多いと思います。

では、簡単に説明してみたいと思います。
矯正というのは、言うなれば「歯と歯の押し合い&引っ張り合い」です。

このとき、下の前歯は小さく、下の奥歯は大きいです。 そして骨も堅いのです。
例えてみると、子供と大人が地面の上で綱引きをしている状態です。 ですから子供(下の前歯)は大人(奥歯)に引かれて素直に奥へ動きます。

ところが、上の前歯大きいですよね。 そして骨も柔らかいのです。
例えてみると、大人の女性と大人の男性が、スケートリンクで綱引きをしている状態なんです。 大人の男性(奥歯)が勝つでしょうが、女性(前歯)側に引っ張られて、前方へ動いてしまいやすいのです。
そうなると、もっと前歯を奥へ引っ込めたかったのに、奥歯が前へ来たから十分に下げられなかった・・・という状況に陥ってしまうのです。

でも、スケートリンクの外にもう一人の大人の男性(アンカースクリュー)にいてもらい、その人に前歯を引っ張てもらっていれば、奥歯はほとんど動かないで済むのです。

これが、矯正インプラント(アンカースクリュー)の大きな役割なのです。

アンカースクリューを使えば絶対!という訳ではありませんが、そのリスクを減らせますし、もしそうなっても補正にかかる時間を最小限に抑えることができます。