圧下と歯と歯ぐき

ガミースマイルや開口を矯正するにあたっては、前歯や奥歯を押し込む圧下という歯の動きが欠かせません。

カウンセリング(相談)や治療の途中で、
「歯を押し込んで治すのですよ」
という説明をすると、

みなさんの多くは、
「歯だけが歯ぐきの中にめり込んでいく・・・」
という状態を想像されるようです。

実際には、「歯と歯ぐきが一体となって押し込まれて行きます」というのが正解です。

ココに分かりやすい写真がありますので、お見せします。
【圧下前】
圧下の時の歯と歯茎の変化(治療前)

【圧下後】
圧下の時の歯と歯茎の変化(治療後)

この治療には、矯正インプラント(アンカースクリュー)を使用しています。 これは矯正力を加えても動きませんので、その位置は変わりません。
見て欲しいのは、「薄緑色の丸で囲んだ矯正インプラント」と「青い線で記した前歯の歯茎のライン」、この二つです。

お見せしている写真でこの二つの間の距離を較べてみると、明らかに治療前(圧下前)よりも治療後(圧下後)の方がその距離が短くなっていることが分かると思います。
矯正インプラントの位置は変わりませんから、前歯が押し込まれたことで、変化したものなんです。

写真からも分かるように、「歯」だけがめり込んで短くなっていないことが分かると思います。
圧下をすることで、「歯と歯ぐき」が一体となって押し込まれて行くのです。

実は、このことは私が九大の矯正科に在籍していた時、同じ研究室の先輩にあたる方が提出した論文の内容なのです。 矯正を行う先生方が何となく感じていたことを、組織学的な研究で明確な事実として証明した、とても素晴らしい研究であると思います。