出っ歯(上顎前突)の原因と治し方(矯正)

このページの内容について概略を示します・
1.出っ歯(上顎前突)とは?
    出っ歯(上顎前突)の概要
    出っ歯の原因
2.出っ歯の治療法
    子供の出っ歯(上顎前突)の治療
    大人の出っ歯の治療
    出っ歯の治療例
3.出っ歯のQ&A

出っ歯とは

外見的に、上の前歯が下の前歯よりも大きく前に出ている状態を指すのが一般的です。

典型的な出っ歯の歯並び

出っ歯の概要

出っ歯」は矯正では「上顎前突」という言葉で表現されます。
矯正界の大立者であるDr.Angleが上の6歳臼歯が本来よりも前にズレた(写真)の噛み合わせを「Ⅱ級(class Ⅱ)」と定義しました。 このⅡ級(classⅡ)の状態がいわゆる出っ歯と言われる状態です。

class2の噛み合わせ
青色でマークしているのがいわゆる6歳臼歯、緑色でマークしているのが犬歯、です。
このように、上の歯が下の歯よりも前方に位置しています。

一般的には、上の前歯が下の前歯よりも大きく前方に出ている状態を示します(Ⅱ級1類)が、中には上の前歯が内側に倒れ込んで奥歯の噛み合わせは出っ歯(Ⅱ級2類)なんだけど見た目は普通なんて方もおられます。
歯並びだけではなく、口元の見た目も影響を受けることがよくあります。
例えば、上の前歯が前方に出ているので、上唇辺りを中心に口元が出てる!と感じる方は多いですよね。
また、出ている前歯の影響で下唇が折り曲げられてしまい、口元がボテッとしてしまう方もいます。
更には、前歯の噛み込みが深い方(過蓋咬合)では、ガミースマイルを伴うこともよくあります。

出っ歯の原因

出っ歯(上顎前突)は、上顎の成長が下顎の成長よりも良すぎることが大きな原因です。
相対的な話になりますので、下顎の成長は普通なんでけど上顎の成長が良すぎて・・・、上顎の成長は普通なんだけど下顎の成長が劣っていて・・・、いろんなパターンがあると思います。
また、顎の成長に大きなズレはないのだけれど上下の歯列の関係がうまくいかなくて、出っ歯に見えることもあります。
例えば、上の前歯が前に傾斜し過ぎていたり、下の前歯のガタガタが原因で上の前歯が出て見えたりして、噛み合わせは出っ歯じゃないのに笑うと出っ歯に見える・・・というケースもあります。
また、口ゴボが悩みの方で、「出っ歯だから前歯が出ているんだ!」という思い込みを持った方も時にみられます。
基本的には御両親からいただいた遺伝ということになるのでしょうが、幼少期からの口呼吸が原因でなることもあります。

出っ歯の治療法

顎骨に成長の余地があるのか否か、即ち子供か大人かで治療法は異なります。
発育成長のパターンには、1.一般型 2.神経型 3.生殖器型 4.リンパ型 の四つが知られています。
矯正に関係する顎骨の場合、上顎骨は脳神経に近いので神経型の影響を大きく受けて、下顎骨は長管骨という骨格を形成する骨なので一般型の影響を強く受けています。 一般型では、5歳ころまでの乳児期と12歳ころからのいわゆる思春期の2回の発育成長のスパートが見られます。 一方、神経型では、乳児期にその発育成長の大部分が終了します。

成長と発育のパターン

そこで、子供の矯正治療では、上下の顎の前後関係のズレを顎の成長を積極的にコントロールすることで改善して治そうと考えます。 一般的に、「上顎の成長を抑えてその間に下顎の成長を待つ」という作戦か、「下顎の成長を積極的に促進する」という作戦を取ります。
一方、大人の矯正治療では基本的に顎の成長は終わっていますので、現状の完成された上下の顎骨のフレームの中で、抜歯をしてスペースを作り前歯を引っ込めて、歯のレベルでズレを改善させていこうと考えます。

子供の出っ歯の治療

顎の成長をコントロールすることで治そうとします。 そのため、様々な取り外し式の矯正装置が治療に使われています。
代表的なものとしては、サーヴィカル・ヘッドギアと言われる帽子のような装置(上顎の成長を抑えてその間に下顎の成長を待つ狙いです)、FKOと言われるマウスピースのような装置(下顎の成長を積極的に促進する狙いです)、でしょうか。 他にも、多種多様な装置が存在していて、先生方のお考えのもと治療に用いられています。
どの装置を使うにしても、子供さんが実際に使ってくれなければ効果は一切出てきません。 親御さん、頑張ってください。

大人の出っ歯の治療

「抜歯をして前歯を引っ込めるスペースを作って、出ている前歯を引っ込めましょう」というのが基本です。
上下の各々の歯にブラケットを付けてワイヤーを通すといういわゆる「ワイヤー矯正」で治療を進めていきます。
目指すゴールや奥歯の噛み合わせによって、抜歯の本数や、アンカースクリューの使用の有無などが変わります。 また、上の智歯についてはよく後ろから押してくることがあるので、基本的に早期に抜歯をします。

マルチブラケットシステムで矯正治療(白いワイヤーを使用)
マルチブラケットシステムによる矯正治療、いわゆるワイヤー矯正です

下顎の劣成長がひどく鳥貌(bird face)と呼ばれる症状の場合は、外科矯正がその適応となるかもしれません。

出っ歯の治療例

当院では大人の矯正治療がメインなので、大人における出っ歯の治療例を示します。

よくある出っ歯の矯正治療(アンカースクリューの使用無し)

典型的な出っ歯の矯正前の歯並び
典型的な出っ歯の矯正前の横顔と口元

→ よくある出っ歯の矯正治療の詳細は、コチラを参照してください。

よくある出っ歯の矯正治療(アンカースクリューの使用有り)

典型的な出っ歯の矯正前の歯並び
典型的な出っ歯の矯正前の口元と横顔

→ よくある出っ歯の矯正治療(アンカースクリュー使用あり)の詳細は、コチラを参照してください。

八重歯を伴う出っ歯の矯正治療(ガミースマイルも有り)

ガタガタのある出っ歯の歯並びの矯正前
ガタガタのある出っ歯の歯並びの矯正前の口元
ガタガタのある出っ歯の歯並びの矯正前の口元で、笑うとガミースマイルもあります

→ 八重歯を伴う出っ歯の矯正治療の詳細は、コチラを参照してください。

奥歯の噛み合わせは出っ歯じゃないのに見た目が出っ歯の人の矯正治療

奥歯の噛み合わせは普通なのに出っ歯に見えてしまう歯並びの笑顔
奥歯の噛み合わせは普通なのに出っ歯に見えてしまう方の矯正前の歯並び
奥歯の噛み合わせは普通なのに出っ歯に見えてしまう方の矯正前の口元と横顔

→ 奥歯の噛み合わせは普通なのに見た目が出っ歯の矯正治療の詳細は、コチラを参照してください。

出っ歯のQ&A

子供出っ歯を治すのに最適な時期はいつですか?

「今」です。
出来るだけ早く、矯正の先生に相談してください。
大人になっても出っ歯は治せますが、まず間違いなく抜歯を伴います。 でも、子供の時期であれば顎の成長を利用することで、抜歯をせずとも治すことも出来るのです。
「手」のレントゲン写真を撮り骨の出来具合を確認することで、その子の成長の度合いを確認します。 そのうえで、成長の時期に応じた適切な装置を選んでいただき治してもらいましょう。 タイミングを逃すと上手くいかないこともあります。

出っ歯を治したら、口元も引っ込みますか?

下の歯列がどの程度前方に位置しているか!?により、答えは変わります。
上の歯だけを2本抜いて出っ歯を治したら口元がスッキリする方もいます。 その一方、出っ歯は治ったけど口元が変わらないので、改めてもう4本追加で抜いて引っ込めないと、口元がスッキリと引っ込まない方もいます。
出っ歯を治す目的が、歯並びの上で出っ歯が治れば十分なのか、口元を引っ込めるためなのか、コレは矯正を始めるにあたり大事なキーポイントです。

マウスピース矯正で出っ歯を治せますか?

マウスピース矯正は、基本的に抜歯をしないで、主に歯のガタガタを治すもの、という認識です。
ですから、出っ歯を治すならばワイヤー矯正という選択になると考えています。